最も高価な屋根材!?一文字軒瓦はなぜ高いのか

最も高価な屋根材!? 瓦の種類

一般住宅に用いられる最も高価な屋根材は何かご存知ですか?(^^)

特注で作るようなもの(鬼瓦など)や、一般の家ではあまり見ない珍しいものを除外すれば、最も高価な屋根材はおそらく「一文字軒瓦」でしょう!

今回は、一文字軒瓦のご紹介と、なぜ高くなるのかについてご説明いたします!

 

 

一文字軒瓦とは

 数ある軒瓦の中で、”合端(あいば)”という工程を必要とする瓦があります。その代表的な瓦が「一文字軒瓦」です。

一文字軒瓦は、瓦同士の接点の仕口を見せ、軒先の合端の美しさを表現する瓦で、数寄屋建築や料亭、重厚な作りの家屋などによく見られます。

合端とは、瓦の接点を隙間なく加工する技術のことで、熟練した高い技術が必要です。

一文字軒瓦

一文字軒瓦

 

 

施工料が高くなる3つの理由

合端が必要

 上記にもある通り、一文字軒瓦には合端をする必要があります。この合端という技術で、瓦を1枚1枚職人の手で加工していきます。

下図より、合端をする前では瓦同士が全く合わないことがわかると思います。このままでは瓦の接点同士が合わず、瓦が葺けないため、合端が必要になる訳です。

一文字軒瓦(合端前)

一文字軒瓦(合端前)

 合端を行い、瓦同士を隙間なく納めると、下図のような綺麗な仕上がりになります。

一文字軒瓦(合端後)

一文字軒瓦(合端後)

取付にも手間がかかる

 一文字軒瓦は合端し終えた後、屋根に取り付ける訳ですが、この工程にも手間がかかります。

平らな地面で合端した瓦を、凹凸のある屋根板に対してまっすぐ取り付けるため、屋根板を加工したり、葺き土を用いて加減するなどの工程が必要です。

足場が必須

 合端を必要とする瓦を取り付ける際には、施工者が取り付けやすいように足場が必須となります。

庇(ひさし)などの低い場所では、足場がいらない場合がありますが、大屋根などの高い場所や、低くても地面が不安定な場所では、足場を設置する必要があります。

足場の費用がかかることも大きな要因です。

 

まとめ

・瓦の加工が必要

・取り付けに手間がかかる

・足場が必須

 

 

合端の難しさ

 親方が見習いの時に、先代の親方に一文字軒瓦の合端を頼まれたそうです。

朝から夕方までかかってできた枚数は、たったの7枚! 

なんとか7枚を仕上げた親方は、チェックしてもらうため先代に見せにいくと、先代はおもむろに合端台の後ろに周り、瓦の後ろから光を当てると、

瓦の隙間が髪の毛以上空いてる!こんなもん使えへん!」と言われ、

そして「切るとき、息止めてるか?」と聞かれたそうです(°_°)

自分の呼吸で刃先が乱れるということですが、合端がいかに繊細な仕事であり、熟練した技術が必要であるかがよくわかるエピソードです。

 

 

終わりに

 近年の和型瓦の減少もあり、合端を敬遠する屋根屋さんも増えていると聞きます。

さらには、一文字軒瓦に似た合端が不要な瓦も開発され、年々合端技術の必要性がなくなってきています。

しかし、職人の手で1枚1枚丁寧に合端された瓦は、太陽に照らされれば瓦のツラがキラキラと銀色に輝き、建物の格を一段と引き上げてくれます。

庇や下屋だけでも一文字軒瓦にしてほしいというご依頼をよく頂きますが、それだけ一文字が、建物に与える印象が大きいことを表しています。

一文字は決して安いとは言えませんが、軒瓦は建物の意匠を決める重要な場所の一つです。ぜひご一考ください!!!

 

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