屋根の最大の敵は水、すなわち”雨”ですよね!
でも、屋根は雨を漏らさなければ大丈夫!とは限りません(°_°)
屋根は雨が漏らなくても、野地板が腐ってしまうことがあるんです!
今回はそんな”屋根と水”の関係にフォーカスしてご紹介いたします!(^_^)
屋根の結露
屋根にも結露ができる
冬場になると窓にたくさん結露がついてますよね。これは屋根にも起こることなんです。まずはこちらをご覧ください。
屋根の結露
上図は新品の瓦で、瓦の劣化による変色ではなく、冬場の朝にわいた結露です。
今年は暖冬だったため比較的マシでしたが、酷いときは大きい水滴が見えるほどで、特にガラス質の釉薬瓦や金属屋根は非常に滑り、屋根に登ることができないため、露の乾き待ちなどはよくあります。
野地板を腐らせる”裏露”
この結露は屋根材の下にも起こります。これを「裏露」と言い、屋根を腐らせる原因の一つです。
裏露により腐朽した野地板
”まじめ社長のその後”より引用
これは、 屋根材と野地板の間の通気が悪いため起こる現象です。中の空気が逃げず、空気中の水分が凝縮され水になることで、野地板を腐らせてしまいます。
通気の良くない屋根
密着工法
日本で多くのシェアを誇るスレート(カラーベストやコロニアルとも言います)や金属屋根などは、野地板に直接資材を葺くため、資材と野地板が密着しています。
このような密着工法では資材と野地板の間の通気が悪くなり、その結果裏露を引き起こす原因になるのです。
野地板が腐ると釘やビスの効きが著しく悪くなり、強い風や台風がきた場合、吹き飛ばされる可能性が高くなります。また、資材自体が軽いために屋根ごと飛ばされたしまった例もありました。
金属屋根
近年流行のガルバリウム鋼板をはじめ、耐用年数が非常に長く再塗装がいらないジンカリウム鋼板なども出てきました。
しかし、上記の通り 屋根材自体の耐用年数が長くとも、それを支える野地板が同じくらい対応できるかは甚だ疑問に思えます。
スレート屋根や金属屋根には、換気棟や吸湿性のルーフィング(下葺き材)がありますが、そもそも湿気の多い日本でどこまで対応できるかはわかりません。
不完全なラバーロック工法
ラバーロック工法とは、瓦同士をコーキングなどで固定し、瓦のずり下がり防止や、耐風力を高めるために用いられます。
ですがこの工法、誤った施工をしてしまうと雨漏りや、裏露の原因になるのです。
下図のように、瓦の隙間を塞ぎすぎてしまうと、中の空気が逃げず裏露の原因になります。また、瓦は隙間から入った雨水を下に逃すように作られていますが、瓦の下を完全に塞ぐと雨水が逃げ場所を失い、雨漏りしてしまいます。
施工不良のラバーロック工法
屋根修理プラスより引用
余談ですが、この工法はちゃんとした施工でも、応急処置以外ではオススメできません。
確かに瓦の落下やズレを防止できますが、大型の台風が来た時にロックした瓦一体がそのまま飛ばされて落下したお家もありました。
そして何より見栄えが悪いですからね、、、σ^_^;
通気の良い瓦屋根
瓦は浮いている
瓦屋根はその施工法から、瓦と野地板に一定の距離が保たれています。
現在の工法は瓦を木に引っ掛けて葺く「桟葺き工法」が一般的で、この引っ掛ける木の分だけ瓦が浮いている状態になっているのです。
これが屋根内の通気を良くし、裏露が起きにくくなっています。
通気性は屋根寿命に大きく影響する
最も通気性に優れた下葺きは、杉・檜・さわら・ひば等を薄く加工したものを何枚も貼り合わせ下地を作る”土居葺き”です。
土居葺きは通称トントンぶきとも言われ、寺社やお城などの本瓦葺きの屋根に多く用いられます。
土居葺きの特徴は、湿気を含むと膨張して防水性が増し、乾燥すると収縮して通気性が増すところにあります。
つまり、この薄い木材たちが屋根材下の湿度調節の役割を担い、裏露を防止することができるのです。
本瓦葺きは100年・200年と長く保ちますが、それを支える野地板が腐らぬよう、こうした工夫が取られています。
屋根を長く保つためには、屋根材下の湿度管理がいかに重要であるかがわかります。
土居葺き
鶴丸城御楼門 建設工事進捗ウェブサイトより引用
終わりに
終わりに、この”屋根と結露の関係”について、面白い記述があったのでご紹介します。
少し前に台風で千葉に大きな被害が出ましたが、屋根が大きく損傷しているのは薄くて軽い新建材ばかりです。今一番シェアが多いガルバリウム鋼鈑などは屋根ごと飛んでしまったり、薄いスレート材も大きく剥がれたり、なかには屋根が軽いゆえに躯体強度の影響もあり家ごと飛んでしまっているという被害も出ています。でも、なぜかそのあたりはあまり掘り下げて報道されません。金属製屋根材はじめ新建材は素材自体がほぼ呼吸することなく、また野地面と密着する工法なので、屋根材裏の結露現象がひどいんです。屋根業界では厳然たる事実として認識されていますが、そこはあまり伝えられません。でも実際は結露だけでなく、その密着工法の影響により数年で軒先から1メートルくらいは逆水現象が起きています。下葺き材や野地は湿気で劣化し、ビスや釘が効かなくなるので、そういう家は台風が来たら屋根材が大きく飛散するのはある意味当たり前で、下手すると屋根、家が軽すぎるので屋根ごと、家ごと飛んでしまう例も起きている。
月刊”住宅建築(2020年2月号)”より引用
日本は湿気大国です。
壁の中や土台など、日本の建物には至る所に湿気防止対策が取られていますが、屋根も例外ではありません。
日本で建物を長く保つためには、湿気とどう向き合うかが重要ということですね!
長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!(^_^)