「瓦は重いからダメ」
新築や葺き替えの屋根材を何にするか迷った時に、真っ先に弾かれるのが「瓦」ではないでしょうか。
しかし、瓦はただ重いというだけの理由で敬遠されるには余りにも惜しい機能をたくさん備えています!
今回は瓦屋根性能について考察していきましょう!(^ ^)
こんな人にオススメの記事!
・新築や葺き替えの屋根材を迷っている
・瓦屋根のメリットを知りたい
耐震性能
耐震機能については、前回の記事に書きましたので、ぜひご一読ください!
耐水性能
吸水テスト
24時間各資材を水の中につけて、それらの吸水率を測るテストです。結果は以下のようになりました。

吸水テスト(%表示)
現在最もシェアが多い上位3つの資材を比較(瓦、スレート、金属)
”愛知県陶器瓦工業組合公式サイト”より引用
JIS(日本工業規格)で定められた吸水率は12%なので、どの資材もそれを満たしていますが、瓦とスレートは土やセメントでできているので、若干の吸水は見られました。
これは全く問題のない数値なのですが、吸水率という中では金属材に軍配が上がります。
(とは言え、勾配のある屋根の上で、24時間水の中につけられることなどあり得ませんが、、、)
野地板が腐食しにくい瓦屋根
吸水率という面では金属屋根が最も優れていますが、そんな金属屋根でも野地板が腐食してしまうことがあるんです。詳しくは下記の記事でご紹介しておりますので、ぜひご一読ください!
耐寒性能
凍害試験
寒冷地では気温の寒暖差により、凍結・融解を繰り返し、屋根材の劣化が早まることがあります。
そこで、瓦・化粧スレート・樹脂繊維混合材の3種類を寒冷地で凍害試験を行いました。
樹脂繊維混合材の代表的なものには”ROOGA(ルーガ)”があります。


凍害試験による質量変化率
”愛知県陶器瓦工業組合公式サイト”より引用
上記のデータから、 瓦は凍害による質量変化が最も小さく、寒冷地でも高い機能性を発揮していることがわかります。
断熱性能
小屋裏空気温度テスト


小屋裏空気温度テスト
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
真夏の小屋裏の高温化対策を調べるテストです。スレート 、F型瓦(平板瓦)、瓦の3種類で比較しています。
外気温に対してどれだけ高温化を防げるかという実験ですが、 この3種類の中で最も遮熱性に優れていたのは瓦でした。瓦はもともと1100度以上の高熱で焼成されているため、熱容量が他の屋根材と比べて非常に優れています。
この結果は、瓦の大きな熱容量と瓦屋根がもつ山部と谷部の自然な通気性に起因すると考えられます。
熱伝導率テスト


熱伝導率テスト
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
屋根材の断熱性は、空調関係の省エネや結露防止に大きく関係します。断熱性を測る一つの目安が熱伝導率です。テストでは、瓦、スレート、金属材の3種類で行い、それらを加熱用ワイヤーで通電発熱させ、熱線の周囲の温度上昇値を測定しました。
やはり金属材は熱伝導率が極めて高く、他を圧倒する結果になりました。
瓦の熱伝導率はスレートにやや劣るものの、上記の小屋裏実験では瓦の持つ熱容量がスレート よりも外気温をしっかりと遮断していることがわかります。
また前述したように、 熱伝導率が高いということは、内外気温の温度差が激しくなるということであり、これは結露ができる大きな原因になるのです。
快適性能
防音性
外部からの遮音対策は、窓や外壁はもちろんですが屋根もその対象です。主に雨音に対して十分な遮音性が求められます。
各資材がどれくらい音を吸収するのかという吸音性能を測る実験を行いました。今回は瓦、スレート、金属材の3種類でテストを行い、数字が大きいほど遮音性能が高いことを示しています。


吸音率テスト
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
テストの結果より、瓦の吸音性能が群を抜いて良いことがわかります。それは瓦の持つ厚みと重さによって、高い遮音性が実現されているわけです。
夏場の熱環境
夏場の環境下で化粧スレート、平板瓦、瓦の3種類の資材で葺いた実験棟を建て、屋根材の表面温度、野地板内の表面温度の違いなどを測定しました。


夏場の屋根表面温度比較
左から瓦・スレート ・平板瓦
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
実験の結果から、瓦が最も熱の吸収を防ぎ、また野地板内表面温度が最も低いことがわかりました。
これは瓦の持つ熱容量が非常に大きく、高い遮熱性能を持っていることを示しています。
冬場の熱環境
夏場の熱環境実験と同様に冬場でも同実験が行われ、小屋裏から屋根材を通ってどのくらいの熱損失が発生するのか測定されました。


冬場の屋根表面温度比較
左から瓦・スレート ・平板瓦
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
同実験から、屋根材表面温度が最も高かったのはスレートでした。これは室内温度が最も外部に漏れていると考えられます。
一方で野地板表面温度が最も高かったのは瓦でした。これは、瓦屋根は熱を外に逃がしにくく、室内温度が下がりにくいことを示しています。
以上の2つの熱環境実験より、 「瓦屋根は夏は涼しく、冬は暖かい」ことが証明されています。
耐久性能
耐薬品テスト
酸性雨や海岸部での塩害など、屋根は化学変化に対して強い安定性が求められます。
酸性雨はもちろんのこと、海岸部での塩害は思った以上に凄いものです。
耐薬品性では、4種類の屋根材の質量の減少や表面の変色などを調査しました。


質量減少率
”全日本瓦工事連盟公式Webサイトより引用”
試験は各資材を約3%の塩酸溶液中に全て浸し、浸す前後の乾燥質量を比較したものです。
結果は瓦の質量変化は一切なく、この4種類の中で最も耐薬品性に優れていることがわかりました。
酸性雨に強いガルバリウムであっても質量変化が認められ、他の資材もほぼ同等の結果です。
また表面色変化試験であっても、瓦の優位性が認められています。
実際に30年・40年経った瓦屋根でも、きちんと製造された瓦はほぼ変色なく、当時の輝きを残しています。
瓦屋根の最大の欠点とされる”重さ”ですが、瓦はたくさんの機能を備えていることがわかっていただけたと思います(^_^)
瓦は遮熱性、防音性、耐久性に優れていますが、それらは”瓦の厚みと重さ”によって支えられているのです。
瓦を「重い」というデメリットだけに目をやるのではなく、その欠点を補って余りある性能を知って頂ければ幸いです(^_^)
最後までご覧いただきありがとうございました!